「片付けたい」という気持ちはあるのに、上手く片付けられないことはありませんか?

部屋がいつもごちゃついている。

探したいものが見つからない。

でも、怠けているわけではない。

本当は綺麗な部屋で生活したいのに…。

それはもしかしたら、

「片付けられない症候群」

が原因かもしれません。

片付けられない理由

片付けようと思えばできるけど、仕事や勉強で忙しくて部屋を片付ける余裕がない。

他にやりたいこともあるし、面倒なので片付けをしない。

そのような人は珍しくありません。

ただ、中には障害や病気のために、「本当は片付けたいのに片付けられない」人もいます。

例えば、このような経験はありませんか。

  • 出したものを戻す前に、他のことに気をとられ、しまい忘れてしまう。
  • 必要なものと、そうでないものの区別をつけることができない。
  • いざ片付ける時に、段取りをつけることができない。
  • 片付けの途中で、本やアルバムなど他のことに没頭してしまう。

これらは、誰にでも多少は思い当たることです。

ただ、日常生活に支障をきたすほどなら、片付けられない原因はADHDかもしれません。

2.ADHDとは

ADHDとは、「注意欠陥・多動性障害」とも呼ばれます。

大きく以下の3つの特徴があります。

①不注意(年齢に見合った行動ができない)

②多動性(好きなこと以外には集中力が続かない)

③衝動性(思いついたらよく考えずに行動してしまう)

症状によって、

  • 不注意優勢に存在
  • 多動、衝動優勢に存在
  • 混合して存在

と分類されます。

これらは、前頭葉の機能障害が原因であると考えられています。

前頭葉は脳の前側にあり、物事を論理的に考え、判断する役割を担います。

また、集中力を持続させ、行動を制御する働きをします。

ADHD自体は「病気」というわけではなく、「生まれつきの特性」なので、治療の必要はありません。

ただ、日常生活や社会生活に支障をきたす場合、診断がつきます。

片付けは、ADHDの方にとって困難であることが多いです。

「判断」と「決定」の連続行為なので、苦手分野なのです。

また、段取りよく動くことが難しく感じます。

さらに、ADHDには「したくないことから回避してしまう」特徴があります。

片付けに関しても、後回しにしてしまい、気が付けばごみ屋敷状態になっていることも。

いざ片付けを始めたとしても、集中力が持続しません

読書など、目についた他のことに夢中になってしまうこともあります。

3.女性のADHD

ADHD含め発達障害は、これまで男性の方が圧倒的に多いとされてきました。

しかし、成人においては、ほとんど差が見られなくなっています。

症状に関しては、男児では多動性、衝動性

女児では不注意の特徴が目立ちます。

男児は集団生活の中でトラブルを起こすことが多く、発見も容易な傾向があります。

しかし、女児のADHDは見逃されることがあります。

「忘れ物が多い」

「物をなくす」

「好きなこと以外には集中力がない」

そのような症状があっても、「ぼーっとしている子」と、捉えられてしまうのです。

しかし女性の場合、結婚・出産・育児のステージでつまずくことになります。

妻として、嫁として、母親としてタスクが増えることで、生きづらさを実感します。

片付けられずに、部屋がごちゃごちゃ。

子どもの大事な書類をなくしたり、イベントを忘れたりする。

本人のせいではないのですが、

「女のくせに」

「母親のくせに」

と責められ、つらい思いをすることも少なくありません。

4.片付けられないデメリット

片付けられない原因が、ADHDかもしれないことについてまとめました。

では、部屋が片付かないと、どのようなデメリットがあるのでしょうか。

一例を見てみましょう。

精神的にイライラしやすい

物をなくしやすく、必要な時に見つからない。

また、探すのに時間がかかる。

汚れた部屋にいることで、精神的に不安定になります。

健康被害が出やすい

カビやホコリ、ダニなどの被害を受ける可能性があります。

また、物が溜まっている場所に害虫が巣を作ってしまうこともあります。

お金が余計にかかりやすい

持っているはずのものを見つけられず、もう一度購入してしまいます。

また、部屋が賃貸の場合、退去時に修繕費用がかかることも。

引っ越しをする際にも、物が多いと費用もかさむでしょう。

ミスが多くなる

大切な書類や、借りた物をなくしてしまいます。

繰り返していると、人からの信用を失ってしまう可能性があります。

では、片付いた部屋にするためにはどうすればいいのでしょうか。

片付けられない症候群の対処法6選

1.専門医に受診を~認知行動療法とは

ADHDが疑われる場合、まずは、専門医に受診しましょう。

認知行動療法という解決法があります。

「認知」とは、「ものの見方」のこと。

人は強いストレスを受けている時、現実世界の見方が悲観的になることがあります。

こうした認知の歪みを整えていくことで、心のストレスを緩和していくことを、認知行動療法といいます。

認知行動療法を取り入れることで、片付けもしやすくなります。

たとえば、物を捨てるとき。

明らかに必要のないものでも、

「まだ使うかもしれない」

「捨てたら絶対後悔する」

と、執着してしまうことがあります。

「捨てたらスペースが空く」

「片付ける手間が減る」

というメリットもあるはずなのに、悲観的にしか物事を見られないと、捨てることができません。

こうした認知の歪みを整え、溜め込んでしまう行動を変えていく方法です。

2.習慣化する

判断や決定が苦手な場合、ルールを決めて習慣化することが有効です。

「考えずに」片付けられることが重要なのです。

置く場所を決めたり、捨てる基準をつくり、迷わずそれに従うようにしましょう。

3.ラベルを貼る

せっかく片付けても、収納した場所や、収納方法がわからなくなってしまう場合もあります。

目につく場所にラベルを貼るようにすれば、その通りに収納していくことができます。

また、家族間でも情報を共有しやすくなります。

4.財布やバッグで練習

いきなり家全体を片付けようとすると、様々な物が視野に入り、集中力が持続しません。

挫折の原因となってしまいます。

「今日は机の上」

「この引き出しだけ」

というようにスペースを区切って、片付けましょう。

練習のために、財布やバッグの中を綺麗に保つことも有効です。

小さな範囲で、できることから始めてみましょう。

5.信頼できる人と一緒に

ADHDについて理解がある人、自分の症状について相談できる人と一緒に片付けましょう。

継続して取り組みやすくなります。

また、その人に「物を預ける」という手法もあります。

処分するべきなのに手放せない物を、家族や友人に数日間預かってもらいます。

その期間に使用しないことで、自分にとって必要でないことを徐々に理解していく方法です。

5. 業者に頼む

一生懸命しようとしても片付けられない。

そのことに恥ずかしさや罪悪感があり、家族や友人に手伝いを頼みにくい場合もあるかもしれません。

その場合はプロに頼んだ方が、ストレスを感じにくいかもしれません。

また、注意したいのが、本人がいない時に、勝手に業者に頼んで片付けてもらうこと。

実は最もやってはいけないことになります。

本人が納得した上で、依頼するようにしてください。

家族が片付けられない症候群だったら

1.家族のつらさ

片付けられない人と共同生活を送ることは、大変なストレスとなります。

銀行印やカード、重要な書類をなくされる。

出かける時もなかなか準備が整わない。

心を込めて贈った物も、他の物に埋もれてしまっている。

「なんでできないの」

と責めたくなってしまうこともあるでしょう。

ただ、一番苦しく、ストレスを感じているのは本人です。

あまりに追い詰めると、うつ病を併発しかねません。

そうなると、もっと大変な生活が待っているでしょう。

根気よく一緒に片付け、できれば掃除の担当を代わってあげてください。

2.認知行動療法を取り入れたプロ

プロの意見を取り入れながら片付けていくのもおすすめです。

発達障害に関する資格を持った掃除業者もいます。

全体的な段取りを仕切ってくれるので、「必要・不必要」の判断のみに集中することができます。

マンツーマンで指導してくれるので、安心して任せられます。

また、「箱の中に入れるだけ」「棚に並べるだけ」など、片付けが難しくないような収納方法も研究されています。

一度その仕組みを家に導入してもらえば、グッと片付けやすくなります。

3.家事代行に頼むという手も

最終的には、定期的に家事代行サービスに依頼するという方法もあります。

家族の中で片付けが負担になるよりは、プロに任せた方が上手くいくかもしれません。

障害者手帳を取得していれば、福祉サービスとして、ヘルパーに家事援助を依頼できる場合もあります。

お困りの場合は、医療機関や市区町村の窓口に相談してみてください。

他にも片付けられない病気がある

ADHDを中心にまとめてきましたが、他にも片付けられない病気や症候群があることをご存知でしょうか?

ADHD以外の病気・症候群についてご紹介していきます。

うつ病

仕事などで過度のストレスを受けると、発症することが多いです。

片付けだけではなく、様々なことに対して「気力を失う」病気です。

加えて、疲労感や倦怠感があります。

何も考えられないので、整理整頓をすることができません。

また、無理して片付けてもすぐに疲れ切ってしまいます。

ごみや、不要な物に対する執着は強くありません。

片付けられないことでさらに自信を失い、悪循環に陥るので早めの対策が必要です。

統合失調症

現実と非現実の区別がつきにくくなります。

投薬治療が中心になります。

幻聴や幻覚、気力を失ったり、極端な思考に走ることから、物をためこんでしまうことがあります。

認知症

高齢者に多く、判断力、記憶力が低下します。

ごみなのかどうかがわからなくなったり、ごみの日を忘れてしまったりします。

また、片付けた場所がわからなくなり、同じ物を購入し、物が溢れてしまいます。

強迫性障害

自分ではしたいと思っていないのに、特定の行動を繰り返してしまいます。

意思に反した行動をしてしまうので、「片付けたいのにごみを集めてしまう」といった症状もあります。

また、「汚れ」に対して過敏になる場合もあります。

例えば、一度着た服は汚いと感じてしまうので、洗濯をしていたとしても触りたくなくなってしまいます。

様々な強迫症状で生活しづらくなってしまい、片付けも進まなくなります。

セルフネグレクト

家族や恋人との別れが原因で発症することが多いです。

極度の無気力により、自分のことがどうでもよくなってしまいます。

食事やお風呂もままならないので、片付けも当然、手につきません。

周りに助けを求めることもないので、周りから気付いてあげることが必要です。

パーキンソン病

脳神経に異常が起き、体の動きが徐々に悪くなっていく原因不明の病気です。

抑うつ、知的機能の低下、前頭葉機能の低下により、片付けができなくなる可能性が考えられています。

まとめ

片付けられない症候群についてまとめました。

片付けたいのに、片付けられない。

それは、怠けているからではなく、ADHDやその他の病気の症状なのかもしれません。

一人で悩まないでください。

ぜひ、信頼できる家族や友人、片付けのプロを頼ってみてください。

また、医療機関や市区町村に相談してみましょう。