ゴミ屋敷といえば一軒家を想像する方も多くいませんか?
実は今増えているのは一軒家のゴミ屋敷ではなくマンションのゴミ屋敷、いわゆる「ゴミマンション」なのです。
もしかしたらまだ気がついていないだけで、隣の部屋もゴミマンションである可能性はありますよね。
また、マンションのゴミ屋敷には一軒家のゴミ屋敷とはまた違った、様々なトラブルや困難もあるのです。
遭遇してから驚いていては遅いかもしれませんし、もうすでに遭遇して困っている方もいるかもしれません。
そこで今回はマンションに増えているゴミ屋敷について、詳しくご紹介していきます。
この記事の目次
マンションに増えているゴミ屋敷
テレビでよく放送されているゴミ屋敷。
見かけることが多いのは一軒家ではないでしょうか。
ですが、最近ではゴミ屋敷はマンションでも頻繁に起こっており、徐々に増加傾向にあります。
まだまだこれからもマンションでのゴミ屋敷は増加し続けますし、実はお隣はもうすでにゴミ屋敷となっている可能性も否定できません。
ゴミ屋敷ならぬ「ゴミマンション」など、最近でも話題となることも増えているので、自分の住んでいるマンションではどうなのかも注意をしておくべきかもしれませんね。
意外かもしれませんが、これからは一軒家ではなくマンションがゴミ屋敷となっていくのです。
マンションのゴミ屋敷は一軒家よりも大変な理由
次に、マンションのゴミ屋敷について、一軒家よりも大変な理由についてご紹介します。
室内には介入できない
マンションの一室がゴミ屋敷であると発覚したのならば、「部屋に入ってゴミを出せばいい」と思う方もいるでしょう。
ですが、周りに迷惑がかかっているものの、室内へ住人の許可なく入ることはできないのです。
たとえゴミであろうとも、全て住居者による所有権があるので勝手に部屋に入り強制的にゴミを捨てることはできません。
ゴミ屋敷をどうにかしたい場合は、まず賃貸であれば大家さんや管理会社が内容証明を送り、ゴミを処分してほしいという旨を伝えることから始めなければなりません。
他には行政に相談するという方法もあります。
ちょっと遠回りに感じてしまいますが、内容証明などは注意喚起をしたという証拠にもなるので、意外と重要です。
介入は難しく時間もかかりますが、まずは注意をすることから始めなければなりません。
分譲マンションは追い出すことが難しい
賃貸マンションの場合、時間と根気は必要となりますがマンショから退去してもらうことは、過去にも判例があり可能です。
ただし分譲マンションの場合、退去に至るまでの道のりはかなり困難である場合があります。
分譲マンションでは、【ゴミの撤去の請求(区分所有法57条)居室の使用禁止(区分所有法58条)】によっても解決ができない場合にのみ、【競売請求(区分所有法59条)】を行うことが可能です。
ただし、競売請求は他にゴミ屋敷をどうにかする方法がないという場合にのみ行うことができるので、最終手段と捉えても良いでしょう。
何かしらの方法をとったとしても、解決には至らないと判断されなければなかなかこの競売請求を行うことは難しくなります。
賃貸マンションも同じく追い出すまでには時間と根気が必要なのですが、分譲マンションも同じかそれ以上に追い出すまでには努力が必要であり、とても難しいのです。
近代増えている「ゴミマンション」
マンションのゴミ屋敷、いわゆる「ゴミマンション」はこれからもどんどん増える傾向にありますが、なぜ増えてしまうのでしょうか。
増える理由4つ
ゴミマンションが増える理由には、以下のようなものがあります。
- 近所付き合いの減少・・・近所付き合いが減少することで、どのような生活が送られているのかが分かりにくくなり、ゴミ屋敷化を予防することが難しくなる
- ゴミの分別が複雑化・・・ゴミの分別が分かりにくいため、捨てられないまま部屋にどんどん溜まっていく
- 核家族や単身世帯の増加・・・家の中に人が多ければゴミ屋敷化を予防したり対処したりすることができるが、単身や核家族となるとなかなか難しい
- コンビニの増加・・・手軽にコンビニで24時間いつでも物が購入できるため、物をため込みやすくなる。
ゴミ屋敷は精神的な問題を抱えている人によって引き起こされることが多いため、近所付き合いなどが減少すると周囲からのサポートが受けられにくくなってしまい、結果ゴミ屋敷化しやすい状況が生まれやすくなってしまいます。
またいつでもどんな時でも物を手に入れられる時代となったことで、物が増やしやすくなり結果的にゴミ屋敷化してしまいます。
ゴミの分別も複雑化しており、さらに相談できる家族がいなければどんどんゴミは溜まっていく一方となるのです。
女性に多い
ゴミ屋敷と聞くと、大ざっぱで面倒くさがりというイメージから男性が多いのでは?と思いませんか?
実はゴミ屋敷の実態としては、女性の方が多いのです。
その理由として、
- 買い物依存症
- 強い執着心
- 忙しい
などが挙げられます。
特に強い孤独感による物への執着心は女性の方が強いため、「もったいないから」という理由も含め物に囲まれて安心したいという気持ちから、物をため込むようになるのです。
またストレスによる買い物依存症も女性の方が多く、購入した後そのまま部屋に放置し、どんどん物がたまっていくのです。
また、忙しい女性も多く片付ける時間がないためにゴミ屋敷化してしまうといったことも実際に多く、職業的に看護師などの女性によく見られると言われています。
このようにしてゴミ屋敷・ゴミマンションは今後もどんどん増えていくでしょう。
解決策も簡単ではないので、解決することも大切ですが予防することも重視していかなければなりませんね。
ゴミ屋敷を放置すると…?
ここで、ゴミ屋敷を放置した場合のリスクもご紹介しておきます。
悪臭
ゴミ屋敷のゴミの中には悪臭を放つ物もあります。
部屋の中だけで臭うのならまだマシですが、実際には外まで臭いが出てしまうことも少なくはありません。
特に夏場は臭いもキツくなるので、相当な悪臭が放たれてしまうでしょう。
マンションの部屋が角部屋でなければ、上下階や両隣りの部屋は悪臭被害に遭い兼ねません。
ゴキブリ・虫
生ゴミなどから虫が湧いてしまう事も多々あります。
ゴキブリはもちろん他の虫まで湧いてしまう可能性もあり、当然ゴミ屋敷だけにはとどまらず、マンション全体に広がってしまうでしょう。
特にゴキブリの駆除は手間も時間もかかりますし、湧いてしまったらほぼ完全退治は難しいと言われているので、解決するには根気も必要です。
虫が湧くと家具や衣類などにも被害が出てしまう可能性もありますし、ときには人体に影響を及ぼす可能性もあるでしょう。
火災
埃が溜まったコンセント・ライター・ガスボンベ・鏡などなど…火災を引き起こす原因となる物はたくさんあります。
これらの物が放置されていれば、室内には燃えやすいゴミもたくさんたまっている状態なので、火災が起きれば一気に燃え上がるでしょう。
マンションの場合もどのようにして他の部屋へ引火してしまうか分かりません。
防火設備が整っていたため引火が防げたとしても、スプリンクラーの作動により家の中が水浸しになり、家電も家具もすべて使えなくなってしまう可能性があります。
火災のリスクは非常に高いので、ゴミ屋敷は早急に片付けないと危険でもあるのです。
ゴミ屋敷を片付ける前に気をつけておきたいこと
ゴミ屋敷には危険も伴うリスクがあるため早急な解決が求められますが、無理矢理解決できる問題でもありませんしトラブルに巻き込まれてしまう可能性もあります。
住民トラブル
やはり一番問題となるのはゴミ屋敷の住人とのトラブルです。
クレームのように注意をしたことで嫌がらせを受け、自分たちがマンションから出て行ったという方も少なくはありません。
嫌がらせ程度で済めば良いですが、事件にまで発展してしまう可能性もあります。
もしもゴミマンション問題が解決できたとしても、その後しこりが残るような方法では快適に住むことができなくなるので、トラブルが起きないように配慮しましょう。
管理会社や管理人とのトラブル
ゴミ屋敷となった部屋をどうにかしてほしいと、マンションの管理人や管理会社へクレームを出す方も多いです。
冷静に困っていることを伝えたとしても、管理人や管理会社だけではどうにもできない場合があります。
何もしてくれない・一向に解決できないとさらにクレームを増やしてしまう方もおり、ゴミ屋敷の住人ではなく訴える側がエスカレートしてしまう事もあるのです。
ゴミ屋敷は確かに困ったものですが、解決までには時間もかかってしまうので、管理人や管理会社ともトラブルが起きないように気をつけましょう。
ゴミ屋敷を片付けるためには?
ゴミ屋敷になってしまったマンションの部屋はどうのように片付ければ良いのでしょうか。
まずは住人とよく話し合う
ゴミ屋敷に他者が介入することが難しいのであれば、住んでいる住人と話し合いをするところから始めなければなりません。
また何かしら精神的な疾患を患っている可能性もあるため、一緒に寄り添い病院へ行くことが最優先です。
話し合いが進めばスムーズにゴミ屋敷も解消されていくでしょう。
ゴミ屋敷を解消させるためには、他者のサポートが一番重要となるのです。
専門の業者に依頼する
片付けが開始できるような状態になれば、自分たちだけでの片付けは困難になるので専門の業者へ依頼しましょう。
最近ではゴミ屋敷対応の掃除業者もたくさんあります。
ゴミ屋敷の住民と相談し立ち会ってもらいながら、業者の方々と一緒に片付けると良いですね。
ただし、勝手にはできませんので、必ずゴミ屋敷の住人本人が立ち会うようにしてもらってください。
所有権・財産など様々な権利が発生するため注意して行いましょう。
特殊清掃業者に依頼する
ゴミ屋敷には様々なゴミが散乱している状態であり、ゴミの種類も数多くあるでしょう。
中には腐ったものや異臭を放つものも例外ではありません。
床や壁のあらゆるところにニオイやシミがついてしまっている可能性もあるので、特殊清掃も同時にお願いすると良いですね。
完全に綺麗にするためにはステップを踏むことが大切です。
まずは住民と相談し、それからゴミ清掃業者へ依頼してお部屋を綺麗にしてもらいましょう。
もし隣人がゴミ屋敷だったら!?
実際に、もし隣人がゴミ屋敷だった場合、どうすればいいのでしょうか?
その場合は、まずは本人に会い、顔を見て伝えましょう。
その時には、感情的にならないことと、丁寧な言葉を使うことが大切です。
しかし「どう言えばいいのかわからない」「できるだけトラブルにはなりたくない」という場合は、管理人や管理会社に伝えましょう。
また直接伝えたにも関わらず、状況が良くならない場合も、管理人や管理会社に対応をお願いするのが得策です。
それでもダメな場合は、自治体や行政に相談するという手段があります。
ゴミ屋敷を防ぐ環境作り!!
ゴミ屋敷の原因は近隣住民や家族とのコミュニケーションが不足している事も原因なのです。
“孤立化”を防ぐ最低限の対策で予防
最近では夫婦二人暮らしでのゴミ屋敷という、あまり聞かないパターンも増えているのだそうです。
この夫婦の場合は世間からの孤立が原因でした。
信頼できるパートナーがいたからといって、必ずしもゴミ屋敷を予防することはできません。
特に最近ではマンションに住む核家族世帯もかなり多くなっているので、いつ・誰が・何をきっかけにしてゴミ屋敷の道へと進んでしまうのかもわからないのです。
ご近所付き合いはもちろん友人との付き合いも、ある程度は大切なのでしょう。
全く孤立してしまうのではなく、ご近所の方々とも良い関係を作るということも重要なのです。
積極的に友人や家族を自宅に招き入れる
積極的に誰かを自宅に招き入れるのも、一つの方法です。
人間は他人の目があることで、自分の行動を客観的に見ることができます。
そのため、友人や家族を積極的に招くことで、ゴミ屋敷になることの予防になるでしょう。
また友人や家族を積極的に招くことで、ゴミ屋敷の根本的原因である、コミュニケーション不足を防ぐこともできます。
ゴミをなんとかするよりも、メンタルのケアを解決することが、本当の意味でのゴミ屋敷の解決につながっていきます。
管理組合による呼びかけ
管理組合からの呼びかけも、ゴミ屋敷を作らないための良い方法になります。
他人からの監視の目が、ゴミ屋敷になるのを防ぐことができるのです。
また孤独であることへの解消にもなりますし、地域の交流にもなるでしょう。
親密すぎるとトラブルにも発展しかねませんが、ある程度の距離での交流は連帯感を生みます。
ゴミ屋敷の予防だけではなく、より住みやすい街になるというメリットもあります。
まとめ
マンションのゴミ屋敷化は甘くみてはいけません。
これからも増える傾向にあるので、住民だけではなく管理会社や管理人の方々も注意しておくべき問題です。
最近ではご近所付き合いも煩わしい・深入りしすぎと、話題にもなっていますよね。
お互いに良い距離が保てることが理想ですが、全くの孤立化はゴミ屋敷化してしまう可能性も出てくるので危険です。
マンションの1室がゴミ屋敷になってしまうと、とても重大な問題となってしまいます。
できるだけ予防ができるように、そしてゴミ屋敷になってしまった時は根気よく対処できるようにして、マンション暮らしを快適にしたいですね。