近年深刻化するゴミ屋敷の問題。実はゴミ屋敷が原因で離婚を考えている人が多くいるのをご存知ですか?

ゴミ屋敷の問題がどうして離婚に繋がってしまうのか?

片付けができないことで、夫婦の関係にどんな影響が出てしまうのか?

ゴミ屋敷が原因で配偶者との離婚を考えている方は、ぜひ最後までご覧下さい。

この記事を監修してくれた専門家

遺品整理士:菅野 武史

一般社団法人遺品整理士認定協会
認定遺品整理士(第 IS23822 号)

片付け業者にて3年、遺品整理業者で2年の現場経験を積んだ後、自身の会社を設立。年間500件以上の現場をこなし、現在も積極的に片付けや不用品回収案件に携わる。

配偶者がゴミ屋敷を作り出してしまうパターン4つ

ここでは、配偶者がゴミ屋敷を作り出してしまう4つのパターンについてみていきます。

妻が家事をやらずにゴミ屋敷に

配偶者がゴミ屋敷を作り出してしまう理由のひとつに、妻が家事をこなす能力がないことが挙げられます。

これは、もともと家事が苦手である、また、片付ける習慣がないことが原因だと考えられます。

例えば、夫婦は法律上の形であり、実際はお互い他人です。

生まれ育った環境も異なるため、必然的に日々の生活にもズレが生じることもあるでしょう。

妻はゴミをある程度溜めてから捨てる人かもしれません。

一方で夫はゴミを溜め込んでいるのが嫌なタイプの人なので、ゴミはすぐにでも捨てたいと思っている人かもしれません。

そして家事全般を苦手としている可能性があります。

このように、夫と妻では生まれ育った環境も違う上、妻本人が家事そのものを苦手としていることで、家が一気にゴミ屋敷化してしまうと言えるでしょう。

少しでもゴミ屋敷化してしまうことを防ぐためにも、夫婦が協力し、家事を分担するなど助け合うことが大切です。

夫が物を買い込んでゴミ屋敷に

配偶者がゴミ屋敷を作り出してしまうパターンのひとつに、夫が買い込んだものを捨てられなくなり、家が不用品で溢れかえってしまうことが考えられます。

これは、普段仕事をしていてストレス発散のために自分へのご褒美という理由から物を買い集めるようになり、本来捨てるべき物を捨てずにどんどん溜め込んでしまうからです。

例えば、趣味のひとつでもある釣り竿も、1本では満足いかず、知らぬ間に複数の釣り竿を買い込むなど、家の中でスペースをとってしまうことになるでしょう。

そして、新しく購入しても古いものを捨てることができず、一気にゴミ屋敷化が加速してしまうことが予想されます。

このように、配偶者がゴミ屋敷を作り出してしまうのは、夫が物を買い込んでしまうことも原因だと言えるでしょう。

片付けすると妻が激怒しゴミ屋敷に

配偶者がゴミ屋敷を作り出してしまう理由には、家族が片付けや掃除をすると妻が激しく怒り、結局片づけられずにゴミが溜まっていくことが挙げられます。

これは、妻にとって家の中、部屋の中は一種の自分のテリトリーとして考えているからです。

例えば、夫から見て妻が必要としているもの、捨てられないものを、まるで放置しているように見えるかもしれません。

しかし、妻にしてみると放置ではなくその場に置いているだけという感覚です。

そのため、私物に触って欲しくないと思っています。

このように、配偶者がゴミ屋敷を作り出してしまうのは、妻側のテリトリーに夫が入り込もうとし、激怒されてしまい片付けが思うように進まずにゴミ屋敷となってしまうのです。

少しでもゴミ屋敷化することを防ぐためにも、普段から置いているものをもとの場所に片付けるなどの習慣を身に付けることが大切です。

妻が家を出ていき残された夫が家をゴミ屋敷に

配偶者がゴミ屋敷を作り出してしまうのは、何らかの理由で妻が出ていったあと、夫一人では家事や片付けが全くできず、ゴミ屋敷にしてしまいます。

これは、妻が出て行ってしまったことに対する不安や寂しさなどのストレスから家の中にゴミを溜め込んでしまうからです。

例えば、これまで夫婦円満に生活していたにも関わらず、何らかの理由によって妻が家を出てしまったら、急にぽっかりと心に穴が空き、寂しさが湧いてしまいます。

その寂しさや不安をゴミで埋め尽くし、気を紛らわせようとします。

このように、夫婦間でトラブルが生じ、それによって妻が出ていってしまった場合、残された夫は寂しさやストレスによってゴミを集めてしまうと言えるでしょう。

ここまでに至る前に、夫婦でしっかりと話し合いの場を設けることで少しでもゴミ屋敷化を防ぐことができるため、双方の歩み寄りが大切です。

 

どうして妻/夫はゴミ屋敷を作り出してしまうの?

ここでは、どうして妻/夫はゴミ屋敷を作り出してしまうの?ということについて解説していきます。

ストレスが溜まっている

なぜ妻や夫のいずれかがゴミ屋敷を作り出してしまうのかご存知ですか?

それは、お互いが何かに対して大きなストレスを抱えているからです。

これは、日常的にお互いに対する不満だけではなく、それぞれが仕事やプライベートが充実していないことに対する様々なストレスがあるでしょう。

上手にストレス発散の方法を持っていればゴミ屋敷を作り出してしまうことを防ぐことができますが、それが分からない場合は逆効果となり、どんどんゴミ屋敷化を加速させてしまうことになります。

このように、お互いに対するストレス、仕事やプライベートでのストレスなどによってゴミ屋敷を作り出してしまうと言えます。

一度ゴミ屋敷を作ってしまうと、そこから脱出するのが難しくなるだけではなく、健康被害を受ける可能性もあるため、適度にストレス発散法を身に付けておくことが大切です。

買い物依存症

どうして妻や夫がゴミ屋敷を作り出してしまうか、その原因は「買い物依存症」であることが挙げられます。

これは、精神疾患のひとつとも考えられており、自分にとって必要性を感じないものでさえも購買意欲を抑えられない、また、日常的にストレスを感じているためです。

例えば、買い物依存症の方は、同じものを何度も購入するだけではなく、自分の存在に自信がないため、常に孤独を感じている方が多いです。

また、自分の考えの甘さから、つい買い物に手を伸ばしてしまうなど、自分にぽっかりと空いた穴を物やゴミで埋めようとしてしまい、買いたいという衝動を抑えられない状態です。

このように、買い物依存症の妻や夫がいる場合、必然的にゴミ屋敷化してしまうと言えるでしょう。

少しでも買い物依存症に陥ってしまうことのないよう、普段から自分なりのストレス発散法を見つけておくことが大切です。

精神疾患を患っている

どうして妻や夫がゴミ屋敷を作り出してしまうか、それは「精神疾患」が原因となっていることが挙げられます。

これは、ADHDなどの片付けができないという発達障害を患っている可能性があるからです。

例えば、部屋があまりにゴミで埋め尽くされているため、自身で片付けようという意思は持っていても、身体がその通りに動かないため、一向に片付けが進まず、より一層ゴミ屋敷化してしまうのです。

また、自分が片付けができないということに対して悩みを抱えている方もいます。

このように、片付けができないためにゴミ屋敷化してしまうのは、精神疾患を患っている可能性があると言えるでしょう。

そのため、一度専門医などに相談されることをおすすめします。

 

ゴミ屋敷が原因で離婚することも可能

では、ゴミ屋敷が原因で離婚することは可能なのでしょうか?

以下の場合はゴミ屋敷が原因で離婚が認められます。詳しくみていきましょう。

ゴミ屋敷が原因で関係修復が不可能な場合

ゴミ屋敷が原因で離婚することも可能であるということをご存知ですか?

これは、夫婦のいずれかが家をゴミ屋敷にした原因となり、関係の修復が困難と認められる場合、可能になります。

例えば、結婚前で付き合っている時は分からなかったことが、いざ結婚して他人同士が同じ家で生活を共にするようになると、これまでの生活スタイルや環境を一変させることは難しいと言えます。

しかし、相手があまりにも自分と違いすぎることでゴミ屋敷を作り出してしまうと、精神的苦痛を強いられ、うつ病などの精神病を患う危険性があります。

つまり、ゴミ屋敷で生活することで健康被害を受ける可能性があると言えます。

そして人間らしい生活を送ることができないままお互いの関係悪化につながり、修復不可能となってしまうでしょう。

このように、結婚生活を送る中で、ゴミ屋敷が原因で婚姻関係を継続させることが困難な精神疾患などが認められる場合、離婚することも可能です。

ゴミ屋敷が原因で精神的被害を受けている場合

ゴミ屋敷が原因で離婚することが可能となるケースは、「精神的被害」を受けている場合が該当します。

これは、あまりに汚いゴミの中で生活を強いられたことによる精神的苦痛によりうつ病などの精神病を患ってしまったためです。

例えば、普段、片付けが行き届いているきれいな家で生まれ育った人が、結婚することで汚いゴミ屋敷で生活することになるとどうなるか分かりますか?

その環境下に置かれるだけでも多大なストレスを抱えてしまうと言えるでしょう。

このように、ゴミ屋敷が原因で相手が精神病を患い、精神的被害を受けていることが認められる場合は、離婚が成立する可能性が高いと言えます。

ゴミ屋敷は精神病だけではなく、ウイルス感染やアレルギーなどによる健康被害も受ける可能性が高いため、健康面や精神面を害する環境から早く抜け出し、離婚に踏み切るのが良いでしょう。

ゴミ屋敷が原因で身体的被害を受けている場合

ゴミ屋敷が原因で離婚することが可能となるケースに、「身体的被害」を受けている場合が該当します。

これは、ゴミ屋敷に発生する害虫や害獣による健康被害により、著しく健康が損なわれているためです。

例えば、ゴミ屋敷には腐った生ゴミがそのまま放置されています。

そのゴミからは異臭や悪臭が放たれ、その臭いにゴキブリやハエが集まってきます。

それらを餌にする害獣となるネズミの姿も見られるでしょう。

害虫や害獣が糞尿をすることで私たちがウイルス感染を起こす、喘息などのアレルギー症状を呈するなど、目に見て分かる身体的被害を受けてしまうでしょう。

このように、ゴミ屋敷で生活することで身体的被害を受けていると認められる場合は、離婚が可能となります。

何よりも精神的にも身体的にもあなた自身の健康を第一優先とさせることが大切です。

ゴミ屋敷が原因で離婚した事例

ゴミ屋敷の問題で実際に離婚したケースもあります。

ここではゴミ屋敷が原因で離婚に至った事例をご紹介します。

熟年夫婦の離婚

家族構成は夫が70代で年金受給中、妻が60代主婦、子もいますが既に独立済みです。

結婚35年と長年生活を共にした夫婦が、ゴミ屋敷が原因で離婚したケースとなります。

ゴミ屋敷となった原因は、妻が家事を怠ったためです。

耐え切れなくなった夫が片付け業者に依頼し、自宅を片付けてもらいますが、結局は別居状態となります。

その後夫が離婚を求めて調停しますが、妻は1年以上応じませんでした。

結局裁判でゴミ屋敷化した自宅の写真が、離婚事由にあたると判断されて離婚が成立します。

夫から妻へ数十万円の財産を分与し、この事例は完結します。

30代男性の離婚

30代男性が自宅がゴミ屋敷化したのが原因で離婚したケースです。

夫は仕事が多忙で、朝早く出勤、深夜に帰宅するという生活が続いていました。

自宅にいる時間に家事や片付けなどを行っていましたが、妻がそれ以上にゴミを溜め、自宅がゴミ屋敷状態に。

2日かけて掃除をした際に、ゴミを捨てるかどうかで激しい口論となりました。

その後夫は裁判で「努力しても片付けが追いつかないこと」「自宅をゴミ屋敷にされることで多大な精神的苦痛を感じていること」を主張し、離婚を認められました。

妻/夫がゴミ屋敷を作り出した時の解決策

では最後に、妻/夫がゴミ屋敷を作り出した時の解決策についてみていきましょう。

自分たちで片付ける

妻や夫がゴミ屋敷を作り出した時の解決策のひとつに夫婦で協力して片付けを行うという方法が挙げられます。

これは、改めてゴミ屋敷であることを改善しようという意思があり、自分たちの力で片付けようと感じるからです。

例えば、精神疾患を患っていない健康な状態であれば、ゴミ屋敷になっていることを疑問に感じる心理が働き、このままではいけないと自分たちでゴミの片付けをしようとします。

少しでもきれいな状態になれば、もっと片付けようという意欲も湧いてくるでしょう。

このように、妻や夫がゴミ屋敷を作り出した時は、まず二人でしっかりと話し合い、自分たちで協力し合い、片付けを行いましょう。

そうすることでゴミがなかった頃のようにきれいな家で生活することができるようになりますよ。

片付け業者に依頼する

妻や夫がゴミ屋敷を作り出した時の解決策として、自分たちで片付けられない場合は片付け業者を利用し、片付けや清掃を行ってもらうことで、きれいに片付けを行うことができます。

これは、自分たちの力ではすべてのゴミの片付けができないほどの量に達してしまっているからです。

例えば、当初はまだ床が見えるくらいのゴミの量であったものが、年数が経過するごとにゴミは増え続け、その結果、天井にまで至ってしまった場合は、もう自分達ではどこから手を付け片付けを行えば良いか分からなくなるでしょう。

このように、自分達で片付けることができないほどのゴミの量である場合は、片付け業者に依頼することでスムーズなゴミの片付け、処分を行うことができます。

もしも自分たちの力ではどうにもならないと判断した場合は、迷わず片付け業者に依頼するようにしましょう。

離婚に関しては弁護士に相談するのもあり

妻や夫がゴミ屋敷を作り出した時の解決策として、ゴミ屋敷をきれいに片付けるのももちろん、その後、離婚の方向性を考える場合はまずは弁護士など法律の専門家に相談すると良いでしょう。

これは、ゴミ屋敷が原因で健全な婚姻生活を継続させることが困難だと言えるからです。

例えば、ゴミ屋敷で生活することで精神的苦痛や身体的被害を受けた場合は、その場で生活を継続させることができません。

また、一方がゴミ屋敷化していることに対して何も感じていない、あるいは一方が精神病を患っているなどの場合はなおさら、自分たちで話し合いを持って離婚の方向に進むことは難しくなると言えるでしょう。

このように、妻や夫がゴミ屋敷を作り出した時の解決策のひとつとして、その後の離婚に向けた話し合いを行う場合は弁護士に相談し、ゴミ屋敷の売却や財産分与など、様々なことをしっかりと取り決めすることが大切です。

ゴミ屋敷ならないための対策3選

ゴミ屋敷問題は夫婦の離婚につながります。

では、そもそも自宅をゴミ屋敷にしないためにどのような対策ができるのでしょう?

ここでは夫婦でできる対策を3つご紹介します。

①買い物や片付けのルールを決める

夫婦で話し合って買い物や片付けのルールを決めることでゴミ屋敷化を防ぐことができます。

例えば、

  • 今使わないものは買わない
  • 何か買うときはお互いに相談する
  • 一定期間使っていないものは必ず捨てる
  • 物を片付ける場所を決める

といった決まりを作ってお互いに協力して守ることでゴミが溜まりにくくなります。

ルールが厳しすぎて、それが原因で不仲になってしまっては本末転倒です。

よく話し合ってできるものから取り入れていきましょう。

②夫婦間でコミュニケーションをとる

普段から夫婦間でコミュニケーションを大切にすることもゴミ屋敷の問題を防ぐことに繋がります。

お互いが何を考えているのか、どういう行動をしているのかある程度把握しておくことで、何か変化が起きたときに気付きやすくなります。

特に高齢夫婦の場合は認知症などの病気も関係してきます。

普段との様子の違いにいち早く気付く、そして解決策をスムーズに話し合えるよう、普段からのコミュニケーションは大切です。

③公的な支援を利用する

夫婦で話し合って、公的な支援を利用するのもゴミ屋敷の問題を防ぐ方法の1つです。

自治体によってはゴミ屋敷対策の条例を定めていることもあり、

  • ゴミ屋敷の状況調査
  • 保健師やケースワーカーの支援
  • 自治体によるゴミの処分支援

などを行っています。

片付け業者と同様、第三者の手を借りることとなりますが、「自分たちでは片付けられない」「業者に頼むお金がない」といった場合は夫婦で利用を検討してみてください。

継続した支援や指導も受けられ、再びゴミ屋敷化することも予防できます。

まとめ

今回はゴミ屋敷と離婚の関係についてご紹介しました。

ゴミ屋敷問題は夫婦間の関係性を悪化させることも多々あります。

離婚の事例でもご紹介したように、激しい喧嘩や別居、裁判などはお互いに強いストレスとなります。

夫婦で話し合ってゴミ屋敷化を防ぐ方法もいくつかご紹介しました。

ぜひ参考にしてみてくださいね。

最後までご覧いただきありがとうございました。