冷蔵庫の処分は、他の家電のように捨てられないことをご存じですか。

2001年にリサイクル法が施行されてから、冷蔵庫を粗大ゴミとして捨てることができなくなりました。

捨てるにはリサイクル料を納めて回収する業者に引き渡さなければなりません。

無料回収などと宣伝している業者に回収を依頼するのは、危険です。

不法投棄の原因となり、排出者の責任をとらされる被害にあうこともあります。

今回は冷蔵庫を捨てるにはどうしたらよいか、費用はどのくらいなのかについて解説します。

この記事を監修してくれた専門家

遺品整理士:目黒 大智

一般社団法人遺品整理士認定協会
認定遺品整理士(第 IS26076 号)

片付け業や不用品回収業者を経営し、現場経験だけでなく、リサイクル・貿易業務に従事。年間1000件以上の不用品回収や遺品整理案件に携わる。

冷蔵庫は捨て方が決まっている

  • 冷蔵庫、冷凍庫
  • テレビ
  • 洗濯機、乾燥機
  • エアコン

冷蔵庫を捨てるには、リサイクル法に従って手続きを踏むことが大事です。

リサイクル法ってなに?

2001年4月1日より施行された法律で、資源の有効活用と廃棄物を減らすことが目的です。

不法投棄による環境汚染や火災などが問題になっています。

リサイクル法では、消費者、小売店、製造業者それぞれ守ることがあります。

  • 消費者   リサイクル料金と運搬収集料金を支払って回収を依頼
  • 小売店   家庭からの廃棄物を引き取って、製造者へ引き渡す
  • 製造業者   廃棄物を引き取り、資源となるものをリサイクルする

最近はとくに、資源の活用や環境問題は大きな問題になってきています。

少々面倒かもしれませんが、リサイクル法に従って捨てることは私たち自身のためでもあるんですね。


リサイクルの費用とリサイクル券  

冷蔵庫を捨てるときにかかる費用はどのくらいなのかですが、品目やメーカーごとのリサイクル料金+収集運搬料で決まります。

冷蔵庫のリサイクル料金は?

冷蔵庫のリサイクル料金は、冷蔵庫のメーカーと容量で料金が変わってきます。

容量の目安は下記のとおりです。

  • 170Ⅼ以下(小)   3,400円(税抜き)
  • 171Ⅼ以上(大)   4,300円(税抜き)

このリサイクル料金にそれぞれの業者の収集運搬料が加算されます。

リサイクル券

リサイクル料金を支払うとリサイクル券が発券されます。

このリサイクル券には2つの意味があります。

  • 冷蔵庫を回収するときに現金の受け渡しなどしなくても作業が進むように、料金を払った証明
  • 消費者(排出者)がリサイクル料を支払った冷蔵庫である証明

違法な業者による不法投棄などのトラブルが起こったときに必要になることがありますので、リサイクル券の控えは必ず受け取りましょう。

冷蔵庫の処分法は5つ

冷蔵庫の処分方法は5つあります。

  1. 買い替えるときに買った電器店で回収依頼
  2. 処分する冷蔵庫を購入した電器店で回収依頼
  3. 家電を販売している電器店に回収を依頼
  4. 指定持ち込み所に持ち込む
  5. 不用品回収業者に回収を依頼

このほかに、引っ越しのときに引っ越し業者に依頼することもできますが、収集運搬料が割高になったり別途見積もりになったりします。

1.冷蔵庫を買い替えた電器店に回収をしてもらう

冷蔵庫を買い替えるときに、電器店に回収を依頼します。

この方法は一番なじみがある方法ですね。

リサイクル券を買う手間もなく、しかも新しい冷蔵庫と入れ替えてもらえる簡単な方法です。

手順は下記のとおりです。

  1. 買い替えるときに古い冷蔵庫の回収をお店にお願いする
  2. リサイクル料金、収集運搬料を支払う
  3. 新しい冷蔵庫の配達時に不要な冷蔵庫を回収

冷蔵庫の買い替えのときは、この手順が一般的ですね。

なお、収集運搬料はお店ごとに料金が違います。下の表に主な店舗をまとめました。

店   名収集運搬料
ビックカメラ1,650円
ヤマダウェブコム1,650円
コジマ1,650円
ケーズデンキ1,650円
エディオン買い替えた商品と回収商品が同じ場合  1,100~1,650円

買い替えた商品と回収商品が違う場合  2,200~2,750円

 

2.冷蔵庫を買った電器店に回収してもらう

買い替える予定がない場合の手順です。

基本は買い替えのときと同じですが、お店によってはリサイクル券を別途用意しなければならないところもあるので、確認は大切です。

冷蔵庫を買った電器店に確認の上、回収を依頼しましょう。

3.リサイクル対象家電を扱っている電器店に回収してもらう

  • 買い替えの予定はない
  • どこで買ったものかわからない

このような場合は、リサイクルの対象家電を扱っている電器店に依頼することができます。

電話などで回収の依頼を受けてもらえるか確認してから依頼します。

手続きは買い替えのときと同様です。

4.指定引き取り所に持ち込む

自治体の指定する引き取り所に自分で持ち込む方法です。

自分で運搬できるならば収集運搬料がかからないので、やり方によっては費用が抑えられることができる方法です。

ただし冷蔵庫は大きいので、車や一緒に運んでくれる人が必要になるとすると、かえって割高になりかねませんね。

指定引き取り所に持ち込む手順

  1. 最寄りの指定引き取り所、営業日を確認して日程を決める(一般財団法人家電製品協会の公式サイトが便利です)
  2. メーカーと品目を調べて、郵便局、ATMでリサイクル料金を支払う
  3. 郵便局の窓口でリサイクル券を受け取る
  4. 冷蔵庫をリサイクル券とともに指定引き取り所に持ち込む

リサイクル券を購入するときの注意

注意点は2つあります。

  1. リサイクル券の受け取りは郵便局窓口
  2. 品目、メーカー、大きさを間違えたリサイクル券は使えない

1つずつ解説します。

1.リサイクル券の受け取りは郵便局窓口

リサイクル券の受け取りは、郵便局の窓口にての取り扱いになりますので、平日に時間が取れない方にはおすすめしません。

平日に手続きできるかどうかも考えて処分の方法を選びましょう。

2.品目、メーカー、大きさを間違えたリサイクル券は使えない

品目やメーカーを間違えて購入したリサイクル券では回収してもらえないので気を付けたいですね。

冷蔵庫・冷凍庫
・冷蔵室扉内等もしくは冷凍庫扉内等の定格表示銘板に表示されている、全定格内容積で区別して下さい。
全定格内容積 170リットル以下→(小)、全定格内容積 171リットル以上→(大)
・破損や汚れ等で定格表示銘板が読み取れない場合は、下記の方法で区別して下さい。
本体の「高さ」「幅」「奥行き」の内、最も長い寸法が、1,400mm未満のもの→(小)
本体の「高さ」「幅」「奥行き」の内、最も長い寸法が、1,400mm以上のもの→(大)

https://www.rkc.aeha.or.jp/cms/wp-content/uploads/price_20200401.pdf より引用

間違えて購入したときはリサイクル券をとっておいて、返金手続きをしましょう。

返金手続きの問い合わせ先:0120-319640(家電リサイクル券センター)

リサイクル券を購入するときは、メーカー、品目、そして冷蔵庫の大きさが重要です。確認して購入しましょう。

 

5.不用品回収業者に回収してもらう

不用品回収業者に依頼すると運び出す手間もかからず、リサイクル券を買う手間も必要ありません。

不用品回収業者に回収を依頼する手順

  1. 複数の業者の見積もりをとって比較、検討して業者を決める
  2. 希望日時に回収してもらう

見積もりは複数の業者に見積もりを依頼することが重要です。

見積書に明確な料金設定がされている、オプション料金が適正であることなどを確認することで、優良な業者かどうか分かります。

回収の方法や希望日時など相談ができるのが、不用品回収業者の強みですね。

見積もりは、不用品回収業者のサイトからもできます。

見積もりだけでなく、会社の概要や業務内容、一般廃棄物収集運搬の許可の有無なども一緒に確認すると、より良い業者を選定できるので安心です。

冷蔵庫は自治体の粗大ゴミで処分できる?

残念ながら、冷蔵庫は自治体の粗大ゴミに出すことはできません。

自治体では家具などを粗大ゴミに出すことはできますが、冷蔵庫を始め、エアコン、テレビ、洗濯機などの家電は対応していないので注意が必要です。

しかし市町村に問い合わせることで、処分の仕方を教えてくれることもあるようです。

正しい方法で冷蔵庫を処分したいのであれば、自治体に問い合わせてみても良いかもしれません。

冷蔵庫を無料で処分する方法はある?

冷蔵庫には無料で処分をする方法もいくつかあります。

  • ネットオークションで出品する
  • リサイクルショップに持っていく
  • 周りの人に譲る

上記の方法はすべて、冷蔵庫が故障している場合はできないので注意が必要です。

冷蔵庫の状態が良ければ良いほど、ネットオークションで売れたり、リサイクルショップが買い取ってくれたりします。

しかしどれも自分で運ばなければいけないので、注意しましょう。

冷蔵庫の回収の費用を抑える方法3つ

冷蔵庫の回収費用を抑える方法は3つあります。

  1. 不用品回収業者の買い取りサービス
  2. リサイクルショップに売る
  3. ネットオークション、フリマアプリで売る

それぞれのメリット・デメリットについて解説します。


1.不用品回収業者の買い取りサービス

不用品回収業者の中に、買い取りサービスをしている業者があります。

買い取りの代金を収集運搬料から差し引いてもらえるので、費用が抑えられますね。

冷蔵庫などの家電の場合、状態がよく3年以内の機種ならば買い取ってもらえる可能性が高くなります。

メリット・デメリット

不用品回収業者に依頼するメリットは

  • 買い取り代金で回収費用が安くなる
  • 他の不用品も一緒に回収してもらえる

デメリットとしては

状態や機種などによっては回収できないこともあることがあげられます。

2.リサイクルショップに売る

リサイクルショップに売ることを検討するのもよいでしょう。

メリット・デメリット

メリットとしては、状態がよく新しい物であれば、高く売ることができます。

だいたい5年以内の機種ならば、買い取ってもらえる可能性が高くなります。

参考として140L前後の2ドア冷蔵庫は一人暮らしの需要が多く利幅もあるので、リサイクルショップが買い取りたい冷蔵庫です。

デメリットとしては、状態によっては買い取ってもらえないことがあげられます。


3.ネットオークション、フリマアプリで売る

ネットオークション、フリマアプリで売るメリットとデメリットについて解説します。

メリット・デメリット

メリットとしては、需要があれば高く売ることができます。

デメリットとしては、冷蔵庫をアップロードする手間がかかること、冷蔵庫を送る手間が大変なことがあげられます。

また、いつ売れるか分からないので、引っ越しなどのスケジュールに見合っているかの確認をしましょう。

 

不用品回収業者に冷蔵庫の処分を依頼するときの注意点

不用品回収業者に冷蔵庫の回収を依頼するのは、手間もなく便利ですよね。

でも気を付けないと、違法な業者に依頼してしまうこともあります。違法な業者を見分ける方法を解説します。


避けた方がいい業者とは 

違法な業者の特徴

  • 無料回収のチラシで集客している
  • 一般廃棄物収集運搬許可証を持っていない(産業廃棄物収集運搬許可では回収できない)
  • トラックで拡声器で無料回収、格安回収などとうたっている
  • 見積書が異常に安い
  • 見積もり後のキャンセルが有料
  • 別途料金など不明な点がある
  • 搬出料(階段やエレベーターなどでオプション料金が発生する)などが計上されていない

このような特徴があれば、依頼しない方がよいでしょう。

違法な業者による不法投棄が問題になっています。

冷蔵庫の不法投棄は、持ち主の責任になってしまいますので、優良な業者に依頼することが重要です。

不用品回収業者に依頼する際の流れ

不用品回収業者に依頼すると、以下の手順で冷蔵庫を回収します。

  1. 電話やメールで問い合わせ
    ※業者によってはこの時点で仮見積もりあり
  2. 見積もり
  3. 不用品を回収
  4. お支払い

まずは、電話もしくはメールで問い合わせを行います。

業者によってはこの時点で仮見積もりを出してくれるところもあるので、是非参考にしてみましょう。

次に、回収する物を業者が確認し、依頼者にあったプランを紹介します。

業者が見積もりに来ることもありますが、回収してもらいたいものを写真に撮って送るだけで見積もりができることもあります。

見積もり内容に承諾をしたら、作業日に実際に不用品を回収してもらいます。

不用品を回収後に、支払いを行い、不用品回収は完了です。

もし買取を希望しているのであれば、その場で割引されるか後日お金が入るかのどちらかになります。

冷蔵庫の回収を依頼する前にしておくこと

冷蔵庫の回収がスムーズに行われるために、準備しなければならないことがあります。

  • 冷蔵庫の中身を全部出しておく
  • 霜をとっておく、蒸発皿に入っている水を捨てておく

買い取りサービスを使いたいなら、

  • 部品がすべて揃っていること、
  • 割れや欠けがないこと

などチェックして、キレイにしておくことも大切です。

まとめ

冷蔵庫の回収は、リサイクル法にのっとって回収を依頼しましょう。

違法な業者による不法投棄は、持ち主の責任になってしまいます。

無料回収などとうたって集客している業者は、違法な業者である可能性が高いので避けるべきです。

自分で持ち込むには冷蔵庫は大きいので、買い替えのときに電器店に下取りや回収を依頼すると手間をかけずに回収してもらえます。

5年以内のもので、状態がよければ、回収業者の買い取りサービスやリサイクルショップの出張買取を使うことも考えましょう。

ネットオークション、フリマアプリで売ることもできますが、冷蔵庫は大きいので発送運搬などの手間がかかります。また、売れないことも覚悟しておかなければなりません。

不用品回収業者なら、複数の業者から見積もりをとって、丁寧な説明、分かりやすい料金体系、一般廃棄物収集運搬許可のある業者に依頼することも重要です。

どこまでの手間をかけられるのか、費用はどれくらいに抑えたいかなど考えながら、自分に合った冷蔵庫の回収方法を考えましょう。