遺品整理の際に「これって供養しなきゃだめ?」と思うものもあるでしょう。
人によっては「供養はなぜ必要なの?」と感じる方もいます。
また、何を供養していいかわからない場合や、そもそも供養とは何か?と考える場合もありますよね。
そこで今回は、遺品整理で出てきた遺品の供養について、なぜ必要なのかということと供養すべきもの、そして方法や費用についてもまとめてみました。
いつか必要になる遺品整理でどのように対処すればいいのか、ぜひ参考にしてください。
この記事の目次
遺品の供養とは?
「供養」そのものの意味とは供物を捧げ死者の冥福を祈ることです。
そして、遺品の供養は「遺品に宿った魂」を抜いてもらってから遺品を処分することです。
物にも故人の想いや魂が宿ると考えられているため、そのまま捨てるのではなくしっかりと魂を抜く供養を行ってから処分することがよいと考えられているのです。
亡くなられた方に対する供養については、聞いたことがあったり少しは知っているという方もいるでしょう。
供養は亡くなられた方はもちろん、遺品などの「もの」に対しても行われるのです。
漠然とした意味でしか知られていないことも多いですし、知っていることで捉え方も変わってきます。
まずは「供養」をという意味を知ってから、なぜ必要なのかを知っていくようしてくださいね。
なぜ供養が必要なの?
供養の意味がわかったところで、続いては「なぜ供養が必要なのか」を紹介します。
宗教
そもそも「供養」とは仏教での考え方であり、昔から「ものには魂が宿る」と考えられてきました。
魂が宿ったものをそのまま捨ててしまうのは、魂まで粗末に扱うのと同じことになります。
そのため、ものを処分するとき、特に遺品を処分する際には故人の魂を供養する意味合いも込めて、しっかりと遺品の供養をすることが大切であり必要なのです。
宗教的な意味合いもありますが意識的にやはり日本では、ものと人との繋がりを深く感じているので、「供養が必要」と考える方も多いのでしょう。
事務的な儀式ではなく、故人の魂を尊重するためにも供養は必要だという考えがあるのですね。
故人の想い
故人の魂が宿る宗教的な意味合いを持って供養が必要という考え方もありますが、やはり故人の想いがこもっているのではないかと考える方が身近なのではないでしょうか。
魂と想いというのは、遺族によっては感じ方にも違いがあります。
魂を抜くと考えるよりはどちらかというと故人の想いがこもっていたと考え、その想いを尊重するためにも供養が必要なのです。
自分のものでもそのまま捨てるというのは、心苦しいと考える方もいますよね。
遺品であればなおさら、処分をしてしまうということが罰当たりではないか、故人を粗末にしているのではないかという考えにも繋がってしまうのです。
故人を大切にするという意味合いも含めると、供養が必要だということがわかるのではないでしょうか。
遺族が前に進む為
供養は一つの区切りとしての儀式でもあります。
特に遺族にとって「遺品整理」と「遺品供養」は遺族の方々が前に進むための行為でもあるのです。
遺品を全て残したいという気持ちもあるでしょう。
ですが自分がいなくなってしまった時、残った遺品と自分の遺品はどうなるのかを考えてみてください。
それならば、しっかりと故人を送ってあげるためにも供養して処分するということも大切なのです。
ただ単に荷物を減らしたいという考えではなく、ものと一緒に故人を送ってあげるため供養をして処分をするのです。
供養は故人の想いだけではなく遺族の想いにも関わります。
故人への想いが強すぎると、故人も心配になり安心して成仏することができません。
故人を安心させてあげるため、そして遺族の方がしっかりと故人の想いを受け取って前に進むためにも、供養という儀式も必要になるのです。
供養が必要なものは?
続いては、供養が必要なものについて紹介したいと思います。必ず供養すべきものと、できれば供養した方が良いものとに分けていますので、参考にしてください。
必ず供養が必要なもの
まずは必ず供養すべきものを確認しましょう。
仏壇・仏具
仏壇にはご先祖様や故人の魂が宿っているため、魂を抜いてもらう必要があります。
遺族の方でも仏壇を家具として扱う方もいますが、やはり家具とはちょっと違う扱いにはなるので、必ず仏壇を処分する際には供養してもらいましょう。
また、仏壇の供養の際には必ず仏具も一緒に供養してもらってください。
神棚
神棚も、仏壇と同じく供養が必要です。
神棚にも神様や先祖が宿っているので、必ず処分するときは供養を忘れないようにしましょう。
位牌
仏壇に祀ってある位牌も仏壇と同じく、先祖や故人の魂が宿っていると考えられています。
位牌も処分を検討されているのなら、必ず魂を抜くために供養してください。
出来るだけ供養した方がいいもの
ここで紹介するのは、必ずではありませんができるだけ供養をした方が良いものを紹介しています。迷った時にはできれば供養するようにしましょう。
人形やぬいぐるみ
人形やぬいぐるみなども、故人が大切にしていたものであれば魂が宿っていたり、故人の想いが入っていると考えられることもあります。
そのため、出来るだけ供養をする方が良いでしょう。
写真
写真は故人そのものを写し出しているため、出来るだけ供養した方がよいと考えられています。
故人が写っているものをそのまま処分するというのも、どこか忍びないと感じてしまうでしょう。
写真にも故人の想いなどを宿していると考える場合もあるので、可能ならば供養する方がよいですね。
故人が愛用していたもの
- 装飾品
- 趣味やコレクションの品
- 日用品
- 食器
故人が愛用していたものには故人の想いが込められています。
愛用していた思い出をそのまま処分するというのも、どこか心苦しいでしょう。
引き継ぐことができないのならば、せめて故人の気持ちを汲み、供養ができるようにしてあげてください。
故人の作品
故人が作ったものは故人の気持ちが込められています。
作品によってはその気持ちの強さにも違いがあるでしょう。
強い想いが込められているものに対しては、故人の魂が宿っている可能性もあります。
できれば故人の気持ちを尊重するためにも、そのまま処分するのではなく供養するようにしてください。
衣類
故人が気に入って着ていたものにも魂が宿っている場合があります。
衣類にも様々な種類があり、着物やドレスのほか普段愛用していた服などたくさんあります。
そのなかでも、思い出がこもっている衣類ならば特に故人の気持ちも強く入っているでしょう。
愛用品と同じように、引き継ぐことができないのならば出来るだけ供養ができるよう、故人の気持ちにも配慮してあげてくださいね。
供養の方法
ここからは供養の方法についてご紹介していきます。供養したいものによって供養してもらう場所などが違うため、合わせてまとめていますので確認してくださいね。
寺や神社に依頼する
依頼すればお寺や神社などで供養してもらうことができます。
ただし、供養してくれるかどうかはお寺や神社によっても違うため、必ず持ち込んだり送ったりする前に確認しておきましょう。
ちなみに供養を受け付けているお寺や神社でも、供養できるものとできないものがあります。
必ずあわせて確認し、供養の方法など相談しながらどのように進めていくか決めてください。
業者に依頼
供養は必ずしもお寺や神社に直接お願いしなければならないということはありません。
業者に依頼することで、まとめて供養してもらうこともできます。
遺品整理業者であれば、仏壇仏具を含め様々なものを供養してくれるでしょう。
ただし、遺品整理を依頼した場合でなければ供養をしてもらえない場合もあり、遺品整理業者によっては供養そのものを受け付けていない場合もあります。
供養だけでも受け付けてくれる業者はありますが、確認が必要です。
また供養できないものもあるかもしれないので、各遺品整理業者に必ず確認してから供養も含め遺品整理をお願いしましょう。
そして、遺品整理業者以外であれば、仏壇仏具などは仏壇屋さんなどに供養を依頼することもできます。
購入した仏壇屋さんはもちろん、購入していない仏壇屋さんでも供養を請け負ってくれるお店があるので、確認してから供養の依頼をしてください。
供養の種類
供養にも、どのように行うのか種類があります。方法にもこだわりがある方は確認しておきましょう。
合同供養
合同供養とは、お寺や神社などでほかの方の遺品と一緒に供養してもらう方法です。
一般的でよく行われている方法でもあります。
個別供養
お寺や神社によって違いはありますが、合同での供養よりも個別にお願いした方は個別供養をしてもらう方法があります。
ただし、個別供養はお寺や神社の予定などとすり合わせて行うため、必ずしも希望する日時に行えるかどうかわかりません。
金額なども変わってきますし、自宅に来てもらうということもあります。
どのように執り行うのかはそれぞれお寺や神社でも違うので、必ず細かく確認してから依頼してください。
お焚き上げが主流な方法
お焚き上げとは「どんと焼き」とも呼ばれ、遺品を焼いて供養する方法です。
遺品を焼くことで浄化し、遺品の魂を天に送り出す、という意味が込められています。
最初にお経を唱えてから、遺品を焼却するという手順で遺品を供養します。
基本的に燃やせるものであれば、お焚き上げが可能です。
しかし電子機器など燃やせないものはお焚き上げができないので、注意しましょう。
供養やお焚き上げを自分で行う事は可能!?
供養は業者などに依頼して行ってもらうのが一般的ですが、中には量が少なかったり、業者などに頼むことに抵抗があったりする人もいるでしょう。
供養は自宅で、自分でできる方法もあります。
- 遺品を拭くなどして綺麗にする
- 塩を振り白い紙に包む
- 言葉をかけながらゴミ袋に入れて口を閉じる
- 自治体のルールに従って手放す
供養を行う前に、シャワーを浴びるなどして体を綺麗にしてから行うと、なお良いです。
また遺品にかける言葉は、感謝を伝える言葉が良いでしょう。
供養を依頼するときの注意点
供養を依頼する際には注意すべき点もあるので、必ず知っておきましょう。
供養してもらう場所が違う
仏壇仏具・位牌はお寺で供養してもらい、神棚は神社で供養してもらいます。
それぞれで供養してもらう場所が違うので注意しておきましょう。
供養した後の処分方法が違う
供養した後の処分方法にも違いがあります。
そのまま処分してもよいもの・寺や神社で引き取ってもらうもの・業者に依頼して処分できるもの、などと分類されます。
そのまま処分してよいものには、写真や衣類のほか日用品、コレクションなどがあります。ただし自治体のルールに沿って分別してから処分するようにしてください。
仏壇仏具や神棚は購入店で処分してもらうこともできますが、お寺や神社でも引き取ってもらうことができます。どうするか必ず相談してください。
ただし、位牌はお寺で永代供養として引き取ってもらうか、魂抜きをした後にお焚き上げをしてもらうかになるためゴミとしては出さないように気をつけましょう。
また、家具や仏壇などは業者に依頼すれば処分してくれる場合もあります。処分が可能な業者にまとめて依頼しておくとよいでしょう。
費用の相場は?
遺品を供養する場合の相場としてはものによっても大きく変わります。
合同供養 | 約5,000円〜 |
個別供養 | 約10,000円〜 |
位牌の永代供養 | 10万円〜 |
合同供養や個別供養は、量や物の種類で金額に違いが出るので、注意しておきましょう。
遺品整理業者に依頼する場合は、ほとんどが合同供養となるので5,000円〜の相場になるでしょう。
ただし、遺品整理を同時に依頼していた場合は、サービスに組み込まれている可能性もあります。
供養だけの場合と遺品整理と合わせての場合とは違うので、必ず確認が必要です。
遺品整理もあるなら合わせて業者へ
遺品整理をご遺族自身で行われているのなら、もちろん供養も自分たちで依頼しなければなりません。
遺品整理だけでも大変なので、供養まで手が回らないという遺族の方も多いでしょう。
時間がじっくりと取ることが難しいのならば、遺品整理と供養を一緒に遺品整理業者に依頼することも一つの方法です。
遺品整理業者なら、供養後の遺品の処分も全て任せられる場合があります。
業者によってはサービスにも違いがありますが、依頼ができるかどうか細かく確認しておけばトラブルになることもないでしょう。
遺品整理だけでも大変ですし供養まで頑張ってやってみたけど、結果的に遺品整理自体が疲れた思い出になってしまった…そんなことにならないようにもしたいですよね。
無理することが遺品整理ではありません。
故人との思い出を大切にすることも、遺品整理のうちの一つです。
負担になるようであれば、遺品整理業者に供養も合わせてお願いできるようにしましょう。
まとめ
遺品整理の際に出てきたものは、全て供養が必要というわけではありません。
ですが、必ず供養が必要なものもあり、供養した方がよいものだってあるのです。
自分だけで判断がつかない場合にも、今回紹介した内容を確認の上、依頼できる場所と相談しながら供養を進めましょう。
また遺品は供養したら終わりではありません。
その後の処分も重要となるので、必ず最後まで責任を持って取り組みましょう。
それでも、時間に追われたり精神的にも肉体的にも負担が大きい場合は、自分が納得できる遺品整理業者に依頼して、思い出に残るよい遺品整理と供養を進められるようにしてください。
どちらにしても遺品整理の際に供養が必要な場合が必ず出てくるので、今回紹介した内容を参考にしてスムーズに進めましょう。
まずは、供養そのものが故人の魂や気持ちを尊重してあげることだと理解して、供養してあげてくださいね。