遺品整理の際に思わぬ物が出てきて、困ってしまう方も多いのではないでしょうか。

特に「写真」の処分には困っている方も多く、どのようにして整理すれば良いかわからない方も少なくはありません。

そこで今回は、遺品整理の際に出てきた写真やアルバムの整理方法についてご紹介したいと思います。

これから遺品整理を行う可能性のある方や、実際に遺品整理をしなければならない方も、ぜひ参考にして写真の整理をスムーズに進めてください。

この記事を監修してくれた専門家

遺品整理士:目黒 大智

一般社団法人遺品整理士認定協会
認定遺品整理士(第 IS26076 号)

片付け業や不用品回収業者を経営し、現場経験だけでなく、リサイクル・貿易業務に従事。年間1000件以上の不用品回収や遺品整理案件に携わる。

遺品整理で大量の写真やアルバムを発見

遺品整理では思わぬところから意外なものを発見することが多々あります。

そのなかでも特に多いのが写真やアルバムなのです。

貴重品などは遺品整理でも重視されているため、当たり前のように整理されるでしょう。

ですが写真は親族が知らないものまでたくさん出てくる可能性があるのです。若い頃の写真など、みたことがない写真も数多く出てくる場合もあります。

生前の写真がたくさん出てくることは、遺品整理をされる方にとっても意外かもしれません。意外であっても、自分の知らないときに写真を撮っていたということは、まったく考えられないことではないでしょう。

また、あまりにも多い生前の写真を前にしてしまうと、どうすればいいかわかりませんよね。捨ててしまうのはなんだか申し訳ないと感じたり、悲しくなったりしてしまいます。

大量の写真やアルバムを発見してしまうということは決して稀ではないので、どうすればいいか迷った時こそ、しっかりと対処できる方法を知っておきましょう。

まずは「処分」か「保管」のどちらかに分類する

遺品整理の際に大量に出てきた写真やアルバムは、どのように整理すれば良いのか迷いますよね。

そこで、まずは処分するのか保管するのか、写真やアルバムを見ながら分類していきましょう。写真によっても必要な写真とそうでないと感じる写真があります。

風景だけの写真が何枚もあれば、保管は1枚にして残りは捨てるなどの工夫をすれば良いのです。アルバムの場合は中から必要な写真だけ抜き取りましょう。

分類することで遺品整理も上手に進めることができます。「捨てる」か「置いておく」のどちらかしか選択できないのではありません。どちらか一方しか選ばなかった場合、必ず後悔してしまいます。

また分類が終われば、「処分」の写真は「保管」の後処理が全て終わるまでの間だけ保管しておいてください。後からまた「処分」に分類される写真が「保管」から出てくる可能性があります。「処分」から「保管」になる可能性もあるので、少しだけ待ちましょう。

大量に出てきた写真やアルバムは分類してから整理を進め、後悔のない遺品整理ができるようにしましょう。

保管しておきたい写真の整理方法

写真やアルバムを分類した際に「保管」を選んだ後の整理方法についてご紹介していきます。「保管」を選んだからには何かしら整理しなければならないので、そのまま放置しないように注意しましょう。

アルバムを作る

保管したい写真はまとめて新たにアルバムを作ってしまいましょう。

写真だけの状態であれば、そのままアルバムに整理をすると写真が傷むことも避けられ、良い状態で残すことができます。

また、小さくコンパクトにアルバムにまとめるようにすれば、場所を取ることもないでしょう。

ここでアルバムを作りながらも、必要がない写真が出てくる可能性があります。後から出てきた写真は「処分」に選んだ写真と一緒に置いておけば、一度で処理が済みます。

できるだけ邪魔にならないコンパクトなアルバムを作り、いつでも思い出を振り返ることができるようにしましょう。

データ化する

「保管」に選んだ写真がとても多い場合はデータ化するのもおすすめです。

特に古い写真は残すことが困難な場合があります。うまくアルバムに収めても、劣化が激しくうまく残せない可能性もあるでしょう。

また、量が多ければアルバムを作ったとしても置き場所に困る方もいるでしょう。保管できるような場所が十分にない場合は、データ化する方法が最善策ですね。

写真をデータ化するのなら、業者に依頼すれば簡単です。自分では難しい作業となり時間もかかってしまうので、データ化は業者を頼りましょう。

形見分け

「保管」に選んだ写真のなかで、ご友人や親族と一緒に写ったものがあれば形見分けをしても良いですね。

全てあげてしまうのは相手にとっても負担となる場合もあります。失礼のない程度の枚数なら10枚程度にしておくのが良いでしょう。

もしくは渡せる枚数を伝え、どのくらい欲しいのかを聞いてあげるのなら失礼にはあたりません。全て貰っていただけるのならお言葉に甘えても問題はないです。

ただし、相手はどのような写真なのかわからない場合もあるので、一度ご招待するなどして見せてあげることも大切です。写真ひとつでトラブルになってしまうのは、遺品整理でも一番良くないことです。

形見分けも一つの方法ですが、渡す相手のことも考えながら進めるようにしましょう。

不要な写真を処分する方法

続いては「処分」に決めた写真の対処方法についてまとめました。処分の方法にもいくつか種類があるので、どの方法が最適が選べるようにしましょう。

遺品整理業者に供養をお願いする

遺品整理業者に遺品整理をお任せしているのなら、写真の供養も一緒にお願いしてみましょう。

業者のなかには供養の依頼ができる場合もあり、写真なども含まれていることがあります。

また、後日お願いするかもしれない場合は、可能かどうか確認しておきましょう。後日の場合は依頼できない可能性もあるので、注意してください。

ただし、遺品整理業者でも供養を依頼できる業者とできない業者があり、人形や位牌はできるけれど写真はできないなど制限がある可能性があります。

供養できるのか写真は含まれるのかなど、先に確認してから依頼するようにしましょう。

直接お寺等に供養をお願いする

「処分」に分類された写真は、自分で直接お寺に持ち込んで供養をお願いすることもできます。

ただし、お寺によっては供養を受け付けていない場合もあるので、あらかじめ調べてから供養に出してください。

また、供養にも時期などがある場合もあるので、合わせて確認しておきましょう。

自分のタイミングで供養に出したい方や、分類するまでに時間がかかってしまった方など、また遺品整理業者に依頼できなかった方も含め、写真を供養したい方は自分でお寺を探しましょう。

遺族が自身で廃棄する

特に供養も必要がないと考えているのなら、自分で写真を廃棄する方法もあります。

正しいゴミの分別方法で自分で廃棄するようにしてください。

ただし、その辺に捨ててしまうのはポイ捨てと同じですし、コンビニのゴミ箱などに捨てるのはモラルがありません。

また、自分の庭などで燃やす場合には、周囲の家に配慮する必要があります。髪なので燃え広がって火事になる可能性もあります。出来るだけ廃棄するのなら安全面も考慮した方法をとってください。

自分で廃棄するのであればせめて正しい方法で捨てるようにしましょう。

故人の写真を処分する際の注意点

続いては、故人の写真を処分する際に、気をつけておきたい点についてまとめました。

遺言書に写真の処分について書かれていないか確認

故人の方の残した遺言書に、写真について記載されている場合があります。

意外と財産分与以外にも要望が書かれていることが多いので、必ず注意してください。

特に遺言書に沿って処分が行われなければ、その後トラブルとなってしまう可能性もあります。親族に訴えられるなど、大ごとになってしまわないように、必ず遺言書に写真の処分について明記されていないかを確認しておきましょう。

親族への形見分けは分類する前に

形見分けの際に、ご友人などには「保管」を選んだ写真や、ご友人が写っているからと別で残した写真を見せたり渡したりするでしょう。

ですが、親族の場合は分類する前に見せてあげるようにしてください。親族にしか分からないような写真だってあります。処分するような写真でも親族には貴重な思い出となる場合があるのです。

親族の形見分けは必ず分類する前に行うようにしましょう。

データ化するにはお金もかかる

保管に選んだ写真の量が多い場合、自分ではアルバムが作りきれず困ってしまいます。

そこでおすすめなのが写真のデータ化ですが、データ化するには業者へ依頼しなければなりません。

業者へ依頼するということはお金がかかってしまいます、量が多ければ値段もかなり高くなってしまうでしょう。

金額は業者によっても違いがありますが、大抵は写真の枚数などで決められます。

写真屋さんでも最近ではデータ化してくれますが、比較的高めです。枚数がかなり多いのであればネットで業者を探したほうが安い場合もあるので、一度探してみましょう。

大量の写真やアルバムは整理に時間がかかる

写真やアルバムが大量にあれば、それなりに整理できるまで時間はかかってしまいます。その心構えについても確認しておきましょう。

量が多ければ短い時間で整理はできない

写真が大量にあれば短い時間では整理することは不可能です。当然分類にも時間がかかるでしょう。

なぜ時間がかかってしまうのか、それは「思い出に浸る」からです。

写真を分類するということは、その時の思い出にも触れることになります。自分が写っていなくても、故人の意外な一面や知らなかった一面を知ることになります。

一つずつ見ながら作業するので、なかなかうまく進めることもできないでしょう。特に亡くなられたのですから、気持ちもなかなかついてこれない可能性があります。

また、逆に思い出に浸らないように急いでしまうと、絶対に後悔してしまいます。一度見た写真を思い返して、「やっぱり捨てなければよかった」など思ってしまうこともあります。

時間がかかるのを覚悟のうえで、写真の整理を進めるようにしてください。そして、必ず後悔のない写真整理を行いましょう。

タイミングによって時間がかかる場合も

写真の整理には時間がかかってしまいますが、タイミングによってはもっと時間がかかる可能性もあります。

亡くなられてまだ間もないのであれば、悲しみの底に気持ちも沈んでいる可能性があります。

そんな状態では分類さえできないこともあるでしょう。写真を見るだけで泣いてしまい、作業が進められない方もいるはずです。

気持ちの整理がつかないままでは、いつまでも処分は勧められません。

また、このような状態で整理すると、必ず後悔してしまいます。

後悔のない遺品整理を進めるためにも、時間がかかると覚悟して、自分のタイミングで進められるようにしましょう。

最悪の場合は思い出のみを残す方法も…

遺品整理を進める時間がないという方もいるでしょう。なかには置き場所がないのでどうしようもないという方もいるはずです。

そうなったときには、最悪の場合全て処分するという方法があります。

ただし、この方法を取るのなら、ほとんどの場合後悔してしまうので、そういった覚悟も踏まえて処分するようにしてください。

確かに最後は自分もいつかは亡くなるので、残す意味がないかもしれません。

それでも、自分のために残すということも大切です。

率先してお勧めできる方法ではないので、この方法だけは最終手段としてください。

1枚でも、思い出がある写真があればできる限り残せるようにもしましょう。

また、送付でも可能なお寺を見つけ、全て処分するならば供養ができるようにしてくださいね。

どうしても遺族で出来ない場合には・・・

遺品整理の写真の整理は、悲しみのあまり、なかなか進まないということもありますよね。

どうしても思い出が蘇ってしまったり、遺族だからこそ判断ができなかったりする場合は、写真を整理することが難しくなってしまいます。

そのような場合は、思い切って業者に依頼をすると良いかもしれません。

遺品整理を業者にお願いするのに抵抗を感じると思いますが、業者の方は遺品整理のプロです。

心を込めた丁寧な対応をしてくれるので、安心して任せることができます。

作業がなかなか進まないという場合は、遺品整理のプロに依頼するというのも一つの手です。

まとめ

遺品整理の際に出てきた大量の写真やアルバムは、まず分類することで整理を開始させることができます。

ただし「処分」にも「保管」にも、後の処理が待っているためすぐに終わるわけではありません。

何かしらの事情が絡むと、整理が終わるまでにかなりの時間がかかる可能性もあります。

その可能性も含め、大量の写真やアルバムの整理には時間がかかると覚悟して、遺品整理を進められるようにしましょう。

写真やアルバムの整理も遺品整理のうちの一つです。

必ず後悔のないような、納得できる遺品整理が進められるように、写真の処理を行いましょう。